
たとえばある街に、競争関係にある二つの新聞があって、両方がAPか
らニュースを購入していると、興味深いことが起きる。
仮にその二つの新聞をA紙B紙として、ある事件でA紙が優れた写真を撮
ったとする。B紙を含めた他紙はその現場に居合わせておらず、その写
真が独占的なのは確実だとすると、普通はその写真を紙面に載せられ
るのはA紙のみということになる気がする。
ところが、APが絡んでくると話が少しややこしくなってくる。
というのは、APは一定料金の年間契約でニュースを配信するかわり
に、契約を結んでいる新聞からニュース記事、写真を提供させるから
だ。
つまり、APのニュースは、APのスタッフとして働くごく限られた(フ
ォト)ジャーナリストのものに加え、大多数のものがそうして地方紙
の記者やフォトグラファーから集められたものによって成り立ってい
るということになる。アメリカで写真を撮っていたとき、自分も何度
か写真をAPのサーバーに入れたことがある。お金ももらえないのにな
んでただで写真をあげているのだろう、と不思議に思った。
(念のため、APは Associated Press のこと。Getty Images 等と同様
に、APは世界中にジャーナリストを配置・手配して、ニュース記事・
写真を提供している。世界中を独自に取材できるメディアなどほとん
ど皆無に近い。だからたいていのメディアは、世界のニュースを紙面
に載せるためにAPと契約をむすんで記事、写真、映像を入手する。新
聞を開いて、APという言葉を目にしない日はないほどだ。)
しかし、地方紙の記者が記事・写真を寄進することでデータベースが
増えるAPのこのシステムは、個人的にものすごく興味深い、というか
不思議だった。というのは、上記のように競争関係にある新聞社が自
社の撮った写真をばんばんAPに入れていたら、ライバル紙がそれを使
えてしまうからだ。
独占記事・写真というのは報道の世界ではかなり重要なことだ。自分
がせっかく撮ったものを、ライバル紙が使えてしまうシステムでは、
購読者数とその売り上げが報道の質を決めるジャーナリズムの世界で
は命取り以外のなんでもない。
一体、どうなっているのか。先日アメリカに行った際、これを元同僚
に聞いてみたわけだ。
というわけで、続きは後日。ふっふっふ。
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